今月の発見 2026-08-17

見た目は充実、AIには4文字 ― JavaScript依存でサイトが「空」に見える問題

結論:AI対策の前に、そもそも「読めているか」を確認すべき

llms.txtを置く、構造化データを入れる。AI検索対策としてよく挙がる施策ですが、その手前で止まっている企業が実際にあります。AIクローラーがサイトにアクセスしても、本文が数文字しか取得できないという状態です。

当社が2026年8月に実施した金融136社(地方銀行61行・第二地方銀行34行・生命保険41社、各業界団体の会員一覧から機械取得)の技術監査で、この状態にある大手企業が複数見つかりました。

実測:トップページから取得できた文字数

AIクローラーと同じ条件(JavaScriptを実行せず、返ってきたHTMLだけを読む)でトップページの可視テキストを測った結果です。社名は伏せますが、いずれも誰もが名前を知っている規模の金融機関です。

対象 取得できた文字数 HTMLに実際に入っていた内容
地方銀行A 4字 銀行名の4文字のみ
第二地方銀行B 2字 アルファベット2文字のみ
生命保険C 488字 ナビゲーションと注意喚起のみ。商品情報なし
生命保険D 912字 「JavaScriptが無効になっています」という案内文

参考までに、136社の主要商品ページの可視テキスト中央値は地方銀行4,174字・第二地方銀行3,880字・生命保険3,655字です。上の4社はトップページの時点でこの水準を大きく下回っており、これは「情報量が少ない」のではなく「HTMLに本文が存在しない」という別の問題です。

ブラウザで開けば、どのサイトも商品案内も金利表も普通に表示されます。人間の目には何の問題もありません。

原因:自前クローラー型のAIはJavaScriptを実行しない

サイトの中身をJavaScriptで後から描画する構成(SPA=シングルページアプリケーションなど)の場合、サーバーが最初に返すHTMLは事実上の空箱です。ブラウザはその後JavaScriptを実行して中身を埋めますが、AIクローラーはここで止まります。

2026年6月時点の実測情報では、GPTBot・OAI-SearchBot・ClaudeBot・PerplexityBotを含む主要AIクローラーは、いずれもJavaScriptを実行しません。取得したHTMLからその場で読めるものだけを抜き出し、レンダリングを待つことも、再取得を試みることもしません。[1] GPTBotはリクエストの約11.5%でJSファイル自体は取得するものの実行はせず、ClaudeBotも約23.8%取得して実行しない、という報告もあります。[2]

つまり、空箱のHTMLを受け取ったAIにとって、そのサイトは「情報が薄い会社」ではなく「情報が何もない会社」です。

同じ「JavaScriptだから読めない」問題は、ページ遷移の実装方式でも起こります。あわせてAIが辿れるリダイレクト、辿れないリダイレクトもご覧ください。

ここが重要:影響はAIによって違う

ただし「JS依存だから全滅」ではありません。Google系は例外とされています。

  • ChatGPT・Claude・Perplexity:自前のクローラーが取得したHTML、あるいはJavaScriptレンダリングが限定的な検索インデックスに依存するため、JS描画された中身は読めない
  • Google AIモード・Gemini:Googlebotのレンダリング基盤(Web Rendering Service)を経由するため、JavaScript実行後の内容を利用できるとされています[1][3](当社の136社実測はHTML取得時点までの計測で、この点そのものは検証していません)

この差が実務上やっかいなのは、「Google検索では普通に出てくるから大丈夫」という確認が通用しない点です。Googleでは何の問題もなく表示されているサイトが、ChatGPTやPerplexityでは存在しないも同然、ということが起こり得ます。AI検索の可視性を1つのモデルだけで確認していると、この問題は最後まで見つかりません。

自社サイトを確認する方法

専用ツールがなくても、ブラウザだけで大まかな確認ができます。

  1. 自社サイトを開き、右クリック →「ページのソースを表示」を選ぶ(表示されるのは、AIクローラーが受け取るのとほぼ同じ最初のHTMLです)
  2. その画面で Ctrl(Macは Command)+ F を押し、主力商品・サービスの名前を検索してみる
  3. ヒットしなければ、その情報はJavaScriptで後から描画されている=AIクローラーには見えていない可能性が高い

トップページだけでなく、商品ページ・サービス紹介ページでも同じ確認をしてください。トップは静的HTMLでも、詳細ページだけJS描画というケースがあります。

対策の方向性

  • サーバー側レンダリング(SSR)や静的生成(SSG)への切り替えが根本的な解決策。ただしサイト構造に関わるため、リニューアルのタイミングで検討するのが現実的です
  • 全面的な作り替えが難しい場合でも、商品名・サービス概要・料金・所在地といった中核情報だけは最初のHTMLに含めるだけで、AIから見た「空のサイト」状態は解消できます
  • リニューアル要件に「JavaScript無効の状態で主要情報が読めること」を1行入れておくと、制作会社との認識ずれを防げます

まとめ

AI検索対策というと構造化データやllms.txtの話になりがちですが、その前段で「そもそもAIが本文を取得できているか」が崩れていると、上に何を積んでも効きません。金融136社という限られた母集団でも複数社で起きていた以上、業種を問わず一度は確認する価値のある項目だと考えています。

見た目の充実度と、AIから見た情報量は別物です。人間の目視とクローラー視点は、分けて確認してください。


出典・データ
・自社実測:金融136社 技術対応監査(地方銀行61行・第二地方銀行34行・生命保険41社、2026年8月10日実施)。社名は非公開
[1] AI Crawlers Do Not Render JavaScript ― Lantern
[2] Do AI Crawlers Render JavaScript? GPTBot, ClaudeBot, and Perplexity in 2026 ― SearchOptimo(2026年6月時点の実測情報)
[3] JavaScript Rendering and AI Crawlers: Can LLMs Read Your SPA? ― Passionfruit

監修:Gov Sync株式会社 AI検索最適化サービス担当 水野 明日香/最終更新日:2026年8月17日

自社サイトがAIクローラーからどう見えているか、実測してみませんか。