「社名で聞いたら1位でした」は、何の証明にもならない
AI検索対策のレポートで、こんな一文を見たことはないでしょうか。
「ChatGPTに御社名で質問したところ、回答の1位に表示されました」
一見すると成果に見えます。しかし、確認すべきことが1つあります。その質問、社名を入れて聞いていないでしょうか。自社名を出して聞けば、AIがその会社について答えるのは当然です。問題は、社名を出さずに聞いたとき、つまり実際の見込み客がAIに投げかけるであろう質問で、同じように答えてもらえるかどうかです。
実測データが示す、2種類の質問の差
AI可視性の計測サービスを提供するSighted社が自社ブログで公開しているデータが、この差を具体的に示しています。同社が自社ドメインを対象に3,419回の観測を行った結果は次の通りです。
| クエリの種類 | メンション率 | 引用率 |
|---|---|---|
| ブランドクエリ(社名入り。例:「〇〇とは?」) | 100% | 38% |
| 業界クエリ(社名なし。例:「〇〇に強い会社は?」) | 0% | 0% |
ブランドクエリだけを見れば「メンション率100%、引用率38%」という立派な数字になります。しかし、まだ自社を知らない見込み客が実際にAIへ投げかけるような質問では、一度も引用されていません。同社によれば、別企業を対象にした25,204回の観測でも「ブランドクエリの引用率24%・業界クエリ0%」と、同じ構造が確認されたとのことです。データ量を10倍にしても、この差は変わらなかったことになります。
質問には「層」がある
この問題を避けるには、測定する質問をあらかじめ層に分けて設計する必要があります。一般に、次の3層で考えると整理しやすくなります。
- 指名層:自社名を含む質問。「〇〇とは」「〇〇の評判は」など。ここだけ測っても、社名を出しているのだから当然の結果しか出ません
- 比較・検討層:自社名を含まない、業界・カテゴリに関する質問。「〇〇の選び方は」「〇〇におすすめの会社は」など。ここが実際の勝負になります
- 課題層:業界名すら含まない、ユーザーの悩みそのもの。「〇〇がうまくいかない」など。ここで見つけてもらえるのが理想です
多くのAI検索対策の効果測定は、1つ目の「指名層」だけで行われがちです。私たちが実施する診断業務でも、この3層をあらかじめ設計してから測定するようにしています(関連コラム:AIへの「聞かれ方」は2種類ある)。
1回聞いただけでは、何も証明できない
質問の設計を正しくしても、もう1つ見落としがちな点があります。AIの回答は、同じ質問でも試行のたびに変わります。1回の観測で「引用された/されなかった」と判断するのは、サイコロを1回振って出た目だけで「このサイコロは必ずこの目が出る」と結論づけるようなものです。
実務上の目安としては、1つの質問につき最低でも数十回の反復観測を行い、「何回中何回引用されたか」を割合として捉える必要があります。「1回聞いてスクリーンショットを撮る」のは、計測というより体験談に近いものです。
まとめ
- 社名を入れて聞く「ブランドクエリ」だけで「AIに好意的に見られている」と判断するのは危険。社名を出さない「業界クエリ」で必ず確認する
- 質問は指名層・比較検討層・課題層の3層で設計し、偏りなく測定する
- 1回の観測結果で判断せず、同じ質問を複数回試して引用される割合を見る
自社のAI可視性を、この3つの観点で正しく測れているか。気になる方は、私たちの無料診断サービスもご活用ください。
出典:Sighted「『AI検索で1位です』 -- その質問、誰がしてるんですか?」(2026年6月18日公開、https://lp.sighted-aeo.com/ja/blog/aeo-measurement-blind-spot)
監修:Gov Sync株式会社 AI検索最適化サービス担当 水野 明日香/最終更新日:2026年8月14日
