基礎解説 2026-07-31

「Schemaマークアップを入れればAIに引用される」は本当?Ahrefsの大規模調査が出した答え

よくある誤解:「構造化データ=AI対策の切り札」?

GEO(生成エンジン最適化)の話をすると、必ずと言っていいほど出てくるのが「JSON-LDなどの構造化データ(Schemaマークアップ)を入れれば、AIに引用されやすくなる」という説です。

実際、AIに引用されているページを調べると、構造化データを入れているページの方が明らかに多いというデータもあります。SEOツールを提供するAhrefs社が600万URLを分析したところ、AIに引用されているページは、されていないページに比べて、JSON-LDを設置している割合が約3倍高いという結果が出ました。[1]

これだけ見ると「やっぱり構造化データは効く」と結論づけたくなりますが、Ahrefs社自身が「これは相関であって因果ではないかもしれない」と疑問を持ち、追加の実証実験を行っています。

Ahrefsの実証実験:1,885ページを追跡した結果

Ahrefs社は2026年5月に発表した調査で、2025年8月から2026年3月の間に新たにJSON-LDを追加した1,885ページを特定し、条件の近い4,000のコントロールページ(構造化データを追加していないページ)と比較。追加前後30日間で、Google AI Overviews・Google AI Mode・ChatGPTでの引用回数がどう変化したかを、プラットフォーム全体のトレンドの影響を除去した上で測定しました。[2]

結果は次の通りです。[2]

  • Google AI Mode:+2.4%(統計的にゼロと区別がつかない水準)
  • ChatGPT:+2.2%(統計的にゼロと区別がつかない水準)
  • Google AI Overviews:−4.6%(統計的に有意な、小さな減少)

つまり、AI ModeとChatGPTでは「構造化データを入れたから引用が増えた」とは言えず、AI Overviewsに至ってはむしろ小幅に減少したという結果でした。この分析は4種類の異なる検証手法で確認されており、いずれも同じ結論を示しています。[2]

ただし注意点もあります。今回の調査対象は「もともとAIに月100件以上引用されていた、既に実績のあるページ」に限られます。まだAIにまったく認識されていないページに構造化データを入れた場合の効果は、この調査だけでは分かりません。[2]

なぜ効果が薄いのか:AIは「見えるHTML」しか読んでいない

効果が薄い理由として有力なのが、「主要なAIは非表示の構造化データを読んでいない」という説です。ドイツのSEO企業searchVIU社が2025年に行った実験では、ChatGPT・Claude・Perplexity・Gemini・Google AI Modeの5つのAIシステムが実際にページを取得する際の挙動を検証したところ、いずれのAIも取得時にはJSON-LDや非表示のMicrodata・RDFaを一切参照せず、画面に表示される本文のHTMLのみを読み取っていたことが分かりました。[3]

Ahrefs社も「すでに技術的に整備されたサイトほど、良質なコンテンツ・被リンク・鮮度など他の要因も揃っている。構造化データはその“おまけ”に過ぎず、単体の効果を切り出すと小さい」と分析しています。[2]

当社の診断ロジックとの整合性

この結果は、当社が542社の独自調査で見てきた実態とも整合的です。構造化データ(JSON-LD)に本格対応していた企業は542社中わずか10社にとどまりましたが、「本格対応していないから即NG」というわけではなく、AIに実際にどう参照されているかを実測しないと、対応の優先順位は判断できないというのが実務上の結論です。

構造化データには、リッチリザルト表示や音声アシスタント対応、ナレッジグラフへの反映など、AI引用以外にも意味のある用途があります。「入れて損はない」ものではありますが、「入れさえすればAIに選ばれる」という単純な話ではない、というのが実測に基づく現時点での結論です。

まとめ:形式より中身、そして実測が重要

  • 構造化データを入れているページとAI引用されるページには相関があるが、追加自体がAI引用を増やす効果は、AI Mode・ChatGPTでは統計的に確認できなかった
  • 主要AIの多くは、ページ取得時に非表示の構造化データを読まず、目に見える本文のHTMLを参照している
  • 「構造化データを入れたか」よりも、「AIに実際にどう参照されているか」を実測して優先順位を判断することが重要

[1] We Tracked 1,885 Pages Adding Schema. AI Citations Barely Moved. ― Ahrefs(相関分析部分)
[2] 同上(因果分析・DiDテスト部分)
[3] Schema Markup and AI in 2025: What ChatGPT, Claude, Perplexity, Gemini Really See ― searchVIU

監修:Gov Sync株式会社 AI検索最適化サービス担当 水野 明日香/最終更新日:2026年7月31日

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