AIクローラー向けの「案内板」、実は世界でもほとんど普及していない
「llms.txt」は、AI(ChatGPT・Gemini・Perplexityなど)のクローラーに向けて、自社サイトのどの情報を読んでほしいかを伝えるためのテキストファイルです。robots.txtのAI版、といえば分かりやすいかもしれません。
「対応した方がいいらしい」と聞いたことがある方も多いと思いますが、実際にどれくらいの企業が導入しているのか、世界の最新データを見てみます。
世界の導入率:トップ1,000サイトでも8.7%
llms.txt普及状況を継続調査しているRankability社のデータによると、2026年6月時点で、世界のトップ1,000サイトのうちllms.txtを設置しているのは8.7%にとどまります。[1]
対象を広げても状況は大きく変わりません。Originality.aiの調査では、2026年5月時点でllms.txt(および類似形式のllms-full.txt、ai.txtを含む)を導入しているサイトは世界で約38,980件。1年間で8.8倍に増えた計算にはなりますが、世界中に存在するWebサイトの総数からすればごく一部です。[2]
大企業に限っても状況は同様です。2026年3月時点で、Fortune500企業のうちllms.txtを導入していたのは37社(7.4%)のみでした。[2]
さらに厳しい現実:設置しても「読まれていない」
もっと重要なデータがあります。Originality.aiの分析では、llms.txtを設置しているサイトのうち97%は、AIクローラーから一度もアクセスされていないという結果が出ています。[2]
これは、「llms.txtを置くこと」自体には効果がなく、置いた後にAIが実際にそれを参照する設計・運用になっているかどうかが分かれ目になっていることを示しています。ファイルを設置しただけで満足してしまうと、労力に見合った効果が得られない可能性が高いということです。
自社調査(542社)との比較
当社が2026年7月に実施した独自調査(化学系企業を中心とした542社対象)でも、同様の傾向が見られました。llms.txtに本格対応していた企業は542社中20社、構造化データ(JSON-LD)に本格対応していた企業は10社、両方に本格対応していた企業はわずか1社。実に94.7%の企業が、両方とも未対応という結果でした。
世界の統計(トップ1,000サイトで8.7%)と当社調査の対象企業(本格対応20社/542社)は、母集団(世界のトップサイト全般 vs. 特定業種の中小〜中堅企業)や「本格対応」の判定基準が異なるため単純比較はできませんが、いずれの調査でも「対応している企業はごく少数派」という結論は一致しています。
まとめ:何をすべきか
- llms.txtは「設置したかどうか」よりも「AIに実際に参照される状態になっているか」で評価すべき
- 対応企業がまだ少ない今のうちに正しく整備すれば、先行者としての優位性を確保しやすい
- 逆に言えば、llms.txtを設置しただけで満足するのは早計。実際にAIがどう参照しているかを実測することが重要
[1] LLMS.txt Adoption: 8.7% of the Top 1,000(June 2026)― Rankability
[2] llms.txt adoption rises 8.8x but 97% of files get zero AI requests ― ppc.land
監修:Gov Sync株式会社 AI検索最適化サービス担当 水野 明日香/最終更新日:2026年7月30日