結論:利用者は増えている。でも流入はまだ0.1%
「AI検索対策をしないと機会損失になります」という言葉をよく聞くようになりました。当社もAI検索最適化を仕事にしている以上、その方向で話したくなる立場ではあります。
ただ、実際に流入の数字を公開している事業者のデータを並べると、いま起きていることはもう少し地味です。今回は、都合のいい数字ではないほうを紹介します。
国内実測:AI検索経由の流入は全体の0.1%
SEOツール「ミエルカ」を提供するFaber Companyが、自社で見ている数十サイトのSearch ConsoleとGA4のデータを集計して公表した数字です。[1]
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| オーガニック検索 | 約5,000万セッション |
| AI検索由来 | 約53,000セッション |
| 全体に占める割合 | 約0.1%(サイト別のレンジは0.02%〜0.9%) |
同社は記事の中で「多くの方がAIサーチからの流入を10〜20%と誤解している」とはっきり書いています。1%を超えるサイトは稀だ、とも。
米国の実測でも、同じ桁だった
これが日本特有の現象かというと、そうでもありません。米国のConductor社が1,215のエンタープライズドメイン・33億セッションを分析した結果でも、業種別のAI経由トラフィックは次の水準です。[2]
| 業種 | AI経由トラフィック比率 |
|---|---|
| 金融サービス | 0.61% |
| 保険 | 0.44% |
| 銀行 | 0.16%(全業種で最低) |
日本と米国で、まったく別の調査が、同じ桁の数字を出している。ここは相応に信頼していい部分だと思います。
一方で、利用者は明らかに増えている
ややこしいのは、「AIを使う人」は急増しているという点です。総務省の『令和8年版情報通信白書』では、日本の生成AI利用経験率が58.8%。前年度の26.7%から2倍以上に伸びています。[3]
使う人は倍増しているのに、サイトへの流入は0.1%。この差はどこから来るのでしょうか。
理由のひとつ:日本人はAI概要を読み飛ばしている
アウンコンサルティングが5カ国で行った調査に、示唆的な数字があります。[4]
| 項目 | 日本 | 順位 |
|---|---|---|
| AIによる概要は読まずに、下部の自然検索結果からアクセス | 36.7% | 5カ国中最多 |
| 生成AIを利用していない | 33.5% | 5カ国中最高 |
調査対象は日本600人・米国324人・ドイツ335人・インド385人・シンガポール325人。日本のユーザーはAIの要約を「とりあえず飛ばして、いつもの検索結果を見る」傾向が他国より強い、という結果です。
それでも測っておく理由は、流入の数ではない
ここまでの数字だけを見ると「まだ対策する段階ではない」と結論したくなります。当社の立場としても、「いま慌てて何十万円もかけて対策すべきです」とは言いません。
それでも測っておく価値があると考えているのは、理由が3つあるからです。
①流入がゼロでも、認知には効いている可能性がある。AIに聞いて社名を知り、その後に社名で検索してサイトに来た人は、統計上は「指名検索からの流入」として記録されます。AI経由としてはカウントされません。流入数だけで効果を測ると、この経路が丸ごと見えなくなります。
②間違って説明されているかどうかは、流入とは別問題です。AIが自社の商品やサービスをどう説明しているかは、流入が0.1%でも0%でも起きています。事実と違う説明がされていた場合、それは流入の話ではなく、信用の話になります。
③現在地を知らないまま、来年を判断できない。いま測っておかないと、1年後に「増えたのか減ったのか」が分かりません。AI検索の可視性は、何もしなくても日々変動します(詳しくは別記事で扱いました)。比較の起点を持っているかどうかが、判断の質を決めます。
数字を出す側の姿勢について
最後に一点だけ。この記事で紹介したミエルカの0.1%という数字は、AI検索最適化ツールを売っている会社が、自社の商材にとって不利な数字を実測して公開したものです。
当社も同じ立場で仕事をしています。だからこそ、都合の悪い数字ほど残すことを社内のルールにしています。煽られて始めた対策より、現在地を知ったうえで始めた対策のほうが、続くと思うからです。
まとめ
- AI検索経由の流入は、国内実測で全体の約0.1%(数十サイト・約5,000万セッション)
- 米国のConductor調査(1,215ドメイン・33億セッション)でも銀行0.16%・金融サービス0.61%と同じ桁
- 一方で日本の生成AI利用経験率は58.8%(前年度26.7%)と急増している
- 差の一因は、日本人がAI概要を読み飛ばす率が5カ国中最多(36.7%)であること
- それでも測る理由は流入数ではなく、①認知経路が見えないこと ②誤った説明のリスク ③比較の起点の3つ
出典
[1] ミエルカ(Faber Company)「AI検索からの流入は実際どれくらい?」(数十サイトのSearch Console/GA4を集計、2025年6月時点)
[2] Conductor「Financials Industry: 2026 AEO/GEO Benchmarks」(1,215エンタープライズドメイン・33億セッション。AI流入の集計期間は2025年5〜9月)
[3] 総務省『令和8年版情報通信白書』(2026年7月24日公表、日米独中4カ国調査)INTERNET Watch経由
[4] アウンコンサルティング「5カ国の生成AI/AI概要 利用実態調査」(2026年6月30日〜7月6日、日本600人・米国324人・ドイツ335人・インド385人・シンガポール325人)Web担当者Forum経由
監修:Gov Sync株式会社 AI検索最適化サービス担当 水野 明日香/最終更新日:2026年8月26日
